昨日は、出張帰りに伊勢原に寄ってみました。
小田急線だと新宿から1時間と意外に近く、
毎年、会社のスタッフ全員でお祓いに出掛ける神社もあり
なじみ深い場所でもあったからです。
伊勢原といえば、霊山として信仰されている大山があり、
参拝に訪れる人のための宿坊が今でも残っています。
そして、私の大好きな手づくり豆腐、
太田道灌が暗殺された最期の地としても知られています。
また四季を感じる自然も多く、今は紅葉の季節。
ちょうど雨予報で寒く、人も少ないだろうとふんで
寄ってみることにしたのです。
万全の登山用の格好ではなかったので
山頂はあきらめ、途中の見晴台という所まで登ることに。
「ハイキングコース」と聞いていたのですが
全然! 結構なデコボコの山道でした…
でも登山道にありがちな階段状に整備された道ではなく
急であっても自然のままの道が、よかった!
湧き水も流れ、モミの原生林の中を歩きながら
森林浴気分と登山気分を満喫できました。
そのまま下山し、ケーブルカーで大山寺へ。
階段脇に地蔵が並び、それを包むように紅葉が折り重なり
その先に、お寺が建っています。
ちょうど、護摩を焚いている時だったようで、
地響きのような唸る声が、地を這って聞こえてきます。
とても同じ人間の声とは思えません。
高く上がる炎も、天に届けるように昇っているようで、
俗世間と離れた場所に紛れ込んだようでした。
それにしても、あの声はどこからでるのでしょうか…
固まって聞き入ってしまうほどの声に初めて出会いました。
先週、発売された週刊文春“私のリビング”で
事務所の私の部屋が掲載されました。
ここは、ちょっと変わった建物で、
昔懐かしい長屋のような雰囲気もあれば
奥に長い一軒家のようでもあり、
木戸から庭が、ずっと細長く続いています。
築45年近くは経つ木造なので、
時を刻んだ木の色合いが何ともいえず気に入っています。
そんな空気感が伝わる写真でした。
ここから始めたインテリアの仕事も、今年で12年目。
リノベーションの本を出版した今夏から、
インテリアデザイナーとして
戸建やマンションの全面改装やリノベーションなど
住空間のデザインに力を入れています。
それでも手づくり感ある、あたたかさは大切にしたいので
長年、お願いしている職人さんと共に手掛けています。
縫製のおばさまスタッフも、
少女の頃、習っていた和裁洋裁の腕を
「やっと、ふるえるわ!」と頑張ってくれています。
自分がデザインに徹することで、
いろんなコラボレーションが形になっているのです。
「部屋改造」から「リノベーション」へ
形態を少し変えて新たに、本格的な改装を始めた今、
私の中での貴重な、初心を映した1枚となりました。
ここ数ヶ月、多くの雑誌やTVなどで書籍、
「自分でつくる、自分の家
−リノベーションで素敵な暮らし」を
紹介して頂きました。有難うございます!
思えば本を出版して初めて、帯にコメントを頂きました。
先日の日記にも書きましたが、
オープンハウスに、お邪魔した建築家のトミタジュンさん
美しい部屋編集部の理解ある編集者の二田佳苗さん、
そしてパシフィックファニチャーサービスの
石川容平さんです。
石川さんには、海外出張前の数時間の間に
一気に読んで頂いてコメントを頂きましたが、
帯のデザイン優先で、全文を掲載できませんでした。
でも、リノベーションや家具づくりに、
きちんと向き合っている想いが伝わる言葉でしたので
ここで、ご紹介させてください。
リフォームをデザインから入るのは危険です。
デザイン家具を知ることよりも
住んでいる家の床、壁、配管といった
ものの成り立ちを知ることは、
人生を楽しく過ごすのにとても役立ちます。
その意味で、この本はいい手引きになると思います。
もともとパシフィックファニチャーサービスを
知ったのは10年以上も前で、
通っていた美容院の待合室の椅子がとても気に入って、
どこで購入したのか聞いたのが初めての出会いです。
座り心地とポンッと置かれている姿形に魅かれました。
あの頃は中目黒の小さな、でも味のあるSHOPで
何だか時間を忘れるような濃い空間でした。
その想いが家具に現れて、今や多くの人に伝わり
人気のSHOPになっているのでしょう。
そんな歴史を、この言葉からも感じました。
先日、友人の建築家、トミタジュンさんの
オープンハウスに行ってきました。
これは、入居前にマスコミや関係者などに
物件内をお披露目するものです。
普段着の街並みに、突如、現れたモダンな建物。
モノクロの風景がコラージュされたようでした。
植物的な緑色の螺旋階段もアクセントになり
コンクリートが、ちょっと華やかな印象に。
室内も総じて、無機質な雰囲気だけど
「蔵書家の隠れ家」と名付けられただけあって
本棚が随所に設置されています。
壁と一体化し、パーティションにもなり…と
1万冊は入るようです。
実際に、ここいっぱいに本が納められると
このモノトーンの本棚にも表情が生まれて
住人の顔が見えてくるのでしょう。
その前の、生まれたての家を見るのは
たった1回しかないので、貴重な体験です。
この家で、とりわけ好きだったのは
オリジナルのステンのシンクと黒い窓枠です。
家のサイズに合わせた特注品のシンクは、少々、
お高いかもしれませんが、やっぱり美しい!
そして窓枠は、以前ここに建っていた家のものを
すべて再利用しているそうです。
リユースやリメイクは手間がかかるものですが
再生しようとするキモチが、モノを通して
輝きを放っているように思えます。
コンクリートのグレーとも合っているので
違和感なく、新しい家に溶け込んでいました。
私は、こういうこだわりある部分に魅かれます。
そして、今はトミタさんを感じる空間ですが
引っ越して、住人の色が重なっていった
そんな1年後などを見てみたいと思いました。
自分色の家、いいですね!