この前のDAIRYで書いた、
秋田の赤れんが郷土館に増築されたビルに、
勝平得之記念館も入っており、ついでに行ってみました。
なぜ「ついで」かというと、誰かが描いた平面作品には
正直、あまり興味がないからです。
古く、街に佇む名もない建築は気になりますが、
美術館には、それに勝るような魅力をあまり感じません。
それより博物館や植物園、
日常の街並みの方が好きです。
そこは、何だか公民館のような雰囲気。
とりあえず観よう気分で行っている私でしたが
それに反して、ちょっと身震いがしました。
勝平得之−かつひらとくし。
この人の想いの深さが作品から匂ってくるようで
何だか引き込まれて動けませんでした。
秋田の地を愛し、版画への一途な想いが強いのです。
いつ以来でしょうか…
こんな風にガラスの向こうの作品に、時を超えて
体温を感じるようなものがこみ上げて来たのは…
また、同時開催で、彼が収集していた版画の中から
美人画のみの展示もしていました。
有名や名作とかではなく、その人の視点で集まったものは
やはり何か納得ができるものばかりでした。
何でしょう、この濃さは。
そんな勝平得之の版画作品は、
日本を訪れたドイツの建築家、ブルーノ・タウトによって
世界に紹介され、
ケルン美術館にも多く収蔵されています。
タウトの秋田滞在時、勝平得之が案内をしたのが縁。
そういえば以前、群馬県高崎市の少林山にある、
タウトが過ごした家を見に行ったことがあります。
その空間を思い出し、
お互いが魅かれる理由が分かるような気がしました。
言葉がなくても通じ合える、同じ方向性の感性。
そんなかつての瞬間を感じられたようでした。
出張に行くたび、時間があれば覗いているのが
その地に残る近代建築です。
日本の土地に、日本の素材で建てられた洋風の建物に
時おり感じる和洋折衷の穏やかな空気感。
ヨーロッパに建つ古い建物と違った、
郷愁を誘う何とも言えない、心地よさに魅かれるのです。
理由もなく、そこに居たいと思ってしまう何か。
できることなら建物内に
時間を気にせず、気がすむまで、たった一人で居たい。
やっぱり建物自体というより、
その内側に残る当時の照明や床材、
あるいは家具類が佇む空間が気になるのです。
先月、秋田からの帰りの飛行機までに時間あり、
ホテルの近くにあった、赤レンガ郷土館に行ってみました。
ここは、旧秋田銀行本店本館。
元銀行で、
その後、活用されている建物は多々ありますが、
実際は、その残し方が間違っていて
残念な姿になってしまっていることも多々あります。
なので、中に入るまでは、いつもドキドキするものです。
でも、ここは大丈夫でした!
寄木張りの床や柿渋で染めた贅沢な壁のクロス、
ヒーターやスイッチ類、窓の金具なども残り、
きれいに、かといって余計な手を加えすぎないでいて
とても当時を思わせる、いい状態でした。
ただ、1階の説明パネルは解説のためとはいえ、
折角の雰囲気を邪魔する感じがしました。
いつも思いますが、こういうのはパンフレットに書いてあり
読みたい人は読み、空間を感じたい人のためには
大げさなパネル展示は止めて欲しいな・・・と。
ここでは珍しく、私は外観が一番、気になりました。
グレーの男鹿石と白タイル、赤レンガを上手く組み合わせ、
随所に魅せるレリーフや柵のデザイン、
とっても斬新で新鮮。
一つ一つが細やかで、きっと当時の職人さんも
仕事のしがいがあったことでしょう。
私が出掛けた時には雨が降っており、
その素材たちの色が一層、濃く、深く、感じられました。
雨で、よかったかもしれません。
多少、周囲の建物は相容れない雰囲気ですが
ここだけを眺めている限りでは、幸せな時間でした。
画像の整理をしていたら、こんなものが出てきました。
インテリアや食器、料理、街角、もちろん鉄道も!
気になるものは、持ち歩いているデジカメで撮っています。
これは去年末、忘年会で訪れたレストラン「NINJA」。
暗くて、よく見えないと思いますが、
店内も本当に暗くて、ある意味徹底しています。
はじめ店名を聞いたときに、間違っていない?と
不安になりました。今どき、ニンジャって…
でもその心が、よ〜く分かりました!
本当に、ニンジャの館でした!
俳優さんの卵でしょうか…みなさん真剣にニンジャでした。
席も、最後に全て見せて頂きましたが、
同じ空間が一つとしてなく、何度来ても楽しめそう。
ただ、泥酔すると二度と自分の席に戻れなさそう…
それくらい入り組んでいて、高低差があり、
時間や時代を忘れそうでした。
スタッフの方に伺ったら、設計は、
新横浜ラーメン博物館をプロデュースされた方だそうです。
さすが、アミューズメントパークの空気感が流れつつ
でもレストランとしての個室感ある設計は見事です。
どっちかにかたよりがちですが、バランスは良い感じ。
子供気分で、ホント、笑みがこぼれました。
料理もヘルシーなものも多く、菜食の私も大丈夫でしたよ。
店内空間は、写真では絶対に伝わらないので
特にココは! あえて撮りませんでした。
前情報なく、一度、体感してみる価値はあると思います。
ここのところ全国各地を、ぐるぐるしている気がします。
仕事で出掛けるのですが
同じ日本といえども初めての地は、とても新鮮!
私は、ローカル線や地元のバスを何とか駆使して、
自力で現地に行くよう心掛けています。
その人の生活環境や、その地の空気を感じたいからです。
そんな道中では懐かしいモノや、珍しいモノなど
いろんな出会いがあります。
タクシーでビュンビュン走っていては
絶対に気付かない、ここならではの空気のカケラです。
今回は「埼玉」という御住所だったので
近所に出掛ける感覚で、行き方を調べて向かいました。
大宮からニューシャトルという、
ちょっと近未来的な名前の電車に乗り換えるのですが…
これが何と! オモチャの電車のようにカワイイ!
勝手に、モノレールのような最新式をイメージしていたので
思わぬギャップに楽しくなってしまいました。
今どき何でもかんでも流線型にしがちなデザインも
何と!! カクカクした箱型!
私は流線型が好きではないので、この箱型車輌に!
まず心を奪われてしまいました。
着いた駅にも、伝えたいことがいっぱいのサインがあり、
レトロなスピーカーがあり、角ばった時計あり。
機能を最優先して、いろんなものを削ぎ落としたデザイン、
やっぱり鉄道や航空関係の
こういったデザインは美しすぎる!
だから好きなんですよね。何だろう…興奮が止まらない!