2007年05月29日(火)                                  |   赤松珠抄子
好きだった風景が消える

ここ数日のことですが
事務所周辺の風景が、日に日に変わっていきます。
好んで目印にしていた、長く続く塀が取り壊されたり、
気になっていた大きな家が解体されていたり、
いつかはこの家…と目を付けていた家が
シートに包まれ壊されている最中にでくわしたり…

時間が経たないとでてこない味を
自然に纏っていた家やビル、塀、そんな大切なモノが
私の大好きな風景から消えていきました。
そういった深みのある建物があってこそ
この街らしく、それがここに事務所を構える理由でした。
今後、空いた土地には、
恐ろしいデザインのマンションや住宅が
あっという間に建っていくのでしょうか…
ここには、絶対に合いませんから…哀しくなります。

ほのぼのとした穏やかな街に
ドカドカとやってくる、時代や雰囲気の違うものたち。
私に、これらを阻止するだけの財力があったらな…
と、こんな時、いつも思います。

 2007年05月22日(火)                                  |   赤松珠抄子
愛車洗車、また洗車

私の事務所用の作業車は、ワイン色のキャデラックです。
インテリアや現場仕事が多いと
ワゴンなど大き目の車に乗ってそうなイメージですが、
それが嫌だったのです。
1日中、材料や家具などリサーチや買い付けにまわり、
戻った駐車場で、疲れた体に元気が戻るような
そんな車に乗りたかったのです。

これは一目見て、即決!
内側もワイン色のベルベットで、
まるでワイン樽の中に、ゆっくり沈み込んでいくよう。
デザインも、流線型は受け付けないので、
このカクカクの箱車の顔の美しいこと!
(なんだか、昔、同じようなことを書いた気が…)

そんな愛する車を、
雨が降って、あがっては洗車をしています。
ここのところ、1週間に1回のペースで雨が降り
毎週、3時間くらい、ずっと洗車している気がします。
やっぱり雨跡がボツボツ残った状態で放置できず、
雨上がりの朝は、ソワソワします。

そんな中、1日だけ、即洗車できない日がありました。
間違いなく、その1日に起こったことと思うのですが…
昨日、いつものように我を忘れて磨いていたら
フロントに変な文字が現れてきました。

「大家さんに預けています」

それって…宅急便の不在伝票のセリフ???
それって、人の車の上で書くううう???
気が変になるかと思いました。
1日経ってしまい、伝票も破り捨ててしまい、
証拠はなく、でもこの空白の1日の不在伝票は1枚。
ああああああ………

磨いても磨いても、余計に浮き出てきてくる文字…
たった1日…
でも、雨跡模様があるピカピカしていない車だったとして
その上で、作業するでしょうか…
泣きそうになりました。
こんな時こそ! 愛車をブッ飛ばして走りたいのですが…
この子をこんなに愛していても、私は運転ができない…
一緒に哀しみと怒りを分かち合えない…
だから、磨く! 文字が浮き出る… 磨く! 文字が…
また森村さんのガレージに行こうかな…


映り込みもピカピカ!


ワイン色とシルバーとの
このコンビが好き


ガラスもガシガシ磨く


いつか凹みも直したい


事務所の洗車セット

 2007年05月19日(土)                                  |   赤松珠抄子
木の作家、三谷龍二さん

自由が丘のギャラリー「WASALABY」
木工作家、三谷龍二さんの個展がはじまりました。
先日は、そのオープニングパーティーに
「室内」の編集部にいらした阿部さんと行ってきました。
三谷さんに、お会いするのは10年ぶりです。
以前、私がまだ「CASA BRUTUS」にいた頃、
「木の生活」という特集で取材に伺ったのが1997年。
年賀状などのやりとりは続いていたので、
そんな…10年もお会いしていないなんて…
気付きませんでした。早いですね…

10年ぶりの三谷さんは、変わらず自然体。
でも周囲が、ちょっと変わっていました。
三谷ファンが沢山! 
作品を手に手に、憧れの眼差しで囲んでいました。
こんなに多くの方に愛される、三谷さんの木の器。
木工という世界を身近なものにしたのは、
やっぱりこの人なんだな…とぼんやりと思いました。
はじめて触れたとき、素朴さの中にもモダンな
ちょっとキモチが高まるデザインの美しさが
木工という昔ながらの世界から、一歩、
飛び出したような、そんな気がしたものでした。

10年前に私は、こんな見出しを付けていました。
「生活空間に
 さり気なく存在を主張する桜の器」
日常に溶け込みつつも、違った味わいを魅せる器は
ほんの少し、ふとした時に
豊かなキモチにしてくれるのでしょう。
多くの人々の笑顔から
そんな存在が脈々と広がっていってることを実感しました。



木が生きている感じ
彫りの跡が好きですね


こちらも料理と合う器


三谷龍二さん(中)と
阿部博子さん(左)
展覧会は29日まで

 2007年05月16日(水)                                  |   赤松珠抄子
問い合わせの留守電

先日、事務所に問い合わせの留守電を頂きました。
内容は分かりましたが、
肝心のお名前と連絡先が吹き込まれていませんでした。
メールなどでも、いくつか問い合わせはあり…
メッセージだけでは、どなたかが分かりません。
もし、お心当たりの方がいらっしゃいましたら
再度、お電話を頂くか、
メールでこの旨、送って頂けますでしょうか?
ここ数日間、ご連絡できないでいるので…
気になっています!


窓辺に置いている電話
オブジェでコードを隠す

 2007年05月13日(日)                                  |   赤松珠抄子
地域限定の料理

地方に出張に行くと、その地の古い建物は勿論ですが、
そこにしかない料理も気になります。
禁酒をしていなければ、
本当はお酒が一番に気になります…
風土や天候に合っていて美味しいと感じたり
採れたてだから鮮度が全然違ったり
東京では手に入らない味が、とても魅力的です。

先月、秋田でもそんな料理に出会いました。
時間もなく、一度だけ外食できる機会がありました。
現地の方に教えて頂いた「無限堂 大町店」。

外観と店内は、懐かしさを誘う雰囲気で気に入りました。
秋田料理と一般的な料理のバランスもよく、
1回だけの外食、または最初に秋田料理を知るのに
最適な一軒ではないでしょうか。

気になったのは「エゴの酢味噌和え」。
酢味噌の右側からのぞく黒っぽいのがそれで、
形はコンニャクのようですが、海草だそうです。
ボロボロコロコロと口の中で崩れるような寒天って感じ。
ダイエットと酒の肴には合いますね…焼酎かな…
「とんぶり」は、山芋とワサビに合わせるのが定番のよう。
「比内地鶏の皮の唐揚げ」は、実に肉々しい!
皮というには勿体ない、肉厚の身を食べているようでした。
これはビールが最高に合いますね。
何でしょうか…このアルコールを誘うような品揃えは…
美味しいと同時に苦しかったです…


無限堂 大町店の外観


和紙と木で落ち着く内観


エゴの酢味噌和え \420


とんぶりのお浸し \450


比内地鶏の皮の唐揚げ

 2007年05月10日(木)                                  |   赤松珠抄子
外用のゴミ箱探し再開

「ゴミ箱」として売られているものに、
いいデザインのモノは、なかなか見つかりません。
できることならば室内に「ゴミ箱」というものを置かず
生活が成り立つなら、そうしたいくらいです。

事務所では、工業用の塗料など材料が入っている缶を
ゴミ箱代わりにしています。
ただの筒状で、とてもシンプル。持ち手もあり便利。
部屋ごとに色分けして、可燃と不燃2つずつ置いています。
ところが、これが一杯になるとゴミの日まで
ストックをする必要があり、それが屋外しかありません。
外用の大き目のゴミ箱で、デザインも素材もいいものって
探してもなく、スーパーのカゴに仮に入れていました。
それが最近、無性に我慢ができなくなり、
急に、再び探し始めました。

その時、思い出したのが、数年前、雑誌のスタイリングで
「ゴミ箱提案」として使った、蓋付きのブリキのバケツ。
確か英字で「OBAKETSU」って
書いてあったような気がして…早速、検索!
存在していました!
この無骨な昔ながらの雰囲気が、とってもいいのです。
よく見たら素材は、ブリキではなくトタンでした。
トタンは亜鉛メッキ鋼板で、屋根材でよく使われるの。
なので風雨にも耐え、錆びにくいので完璧です。

何年経っても「定番」として継続している商品て
素晴らしいな…としみじみ思いました。
思わぬ再会に、シャンパンを飲んでしまいそうでした…


屋外の、しかも室外機の
上にしか置けません…


ボコボコした質感がいい
時間が経ってからの
色の変化も楽しみ


蓋を引っ掛けられる
小さなアイデアだけど
大きな便利に

 2007年05月07日(月)                                  |   赤松珠抄子
空間に、あの絵を飾りたい!

「絵のことで質問が…」という問い合わせがありました。
1999年から3年以上も続いた
週刊新潮よろず医者いらず」という連載の挿絵を
私が描いており、その絵がお好きだったというのです。
そんな昔の、一週刊誌の挿絵のことを覚えて下さっていて
それだけで、とても嬉しくなりました。
墨1色で描く、お題にある薬用効果のある植物の絵です。

実は、依頼人の方は新築マンションを購入されたばかり。
リビングダイニングに絵を飾りたいけど
探してはみたものの決められず、ピンとこない。
それで以前、気になっていた連載の挿絵のことを
思い出して下さったようです。
通常、私は原画は全て自分で管理をして保管していますが
今回は、あえて原画を額装することにしました。

お宅にお邪魔し打ち合わせをして、空間に合うように
フレームの色、素材、マットの仕様、色合わせ、
そしてサイズや個数などを予算に合わせて制作しました。
勿論、設置にも伺います。
日常の、ちょっとした空間に
さりげなく色を添える墨1色だけの水彩画。
ファイルされていた時より輝いて見えました。
想われている人に届けられる絵は、素敵な居場所確保!
なんですね。


フレームを濃い茶にして
ナチュラルな空間に
アクセントを!


ベージュ×濃ベージュの
ダブルマットで上品に


椅子に人が座った状態で
美しいバランスになる
絵の位置を決めている